鎌倉時代の頃から古く伝えられた羽子板ですが、
現代のように装飾品として確立されていったのは江戸時代以降とされています。
太平な世になり、広く神事や五節句の行事が行われていったのも
要因とされています。

新年を迎える大事な行事として定着した羽子板飾りに、
蒔絵や古粉といった技法を用いて美しい装飾専用の羽子板が
作れらていきました。
その中でもとりわけ江戸の庶民に受け入れられていったのが押絵羽子板です。

中国から伝わった技法で厚紙に布を張り、綿を入れて立体感を持たせたもので、
当時の浮世絵の流行と重なり庶民の間で熱狂的にもてはやされ、
歌舞伎の人気役者や、浮世絵の美人画など押絵羽子板の全盛を極めました。

今日の押絵羽子板はその押絵羽子板技法が受け継がれて来た物で、
美しい羽子板は初春の縁起物として、また、高尚な贈り物として
今なお喜ばれています。



江戸押絵羽子板は、伝統的な原材料を用い、昔ながらの技術、技法、手作り等の条件を満たし、
厳格な検査に合格した東京都知事指定の伝統工芸品です。
小さな一つ一つのピースを積み重ねて造り上げるまさに根気のいる作業の連続で、
出来上がる押絵の一枚一枚は、広く幸せと魔除けとしての能力を信じて造る職人の技と経験の賜物です。
どうぞ末永くご鑑賞、ご愛好下さいませ<(_ _)>



大きさや仕様、飾り方や全体の雰囲気に合わせて、たくさんの反物や部品の中から使用する物を決め、それらに合った制作方法を決めます。羽子板の場合は柄が出る部分が限られている為、通常の見立て方では出来上がりが全然違うものになってしまいます。この時点でかなり気を使う作業になります。




小さな部品から造っていきます。型取った厚紙に布を張り、綿を入れてくるみます。使う場所によって綿の入れ方や量を調整し、場合によっては二重にくるんだり何層も段違いにくるんだりします。糊とボンドをその日の天候や湿度などによって細かく調合し、最後にコテで抑えてくるみます。この小さな部品が80ケ以上集まって出来上がるのが押絵羽子板なのです。




小さな部品を重ね合わせたり繋ぎ合わせたりして大きな部品に仕立て上げていきます。より立体に、より豪華になるように『仕様書』に照らしながら仕上げます。3Dの立体パズルの要領と言えばわかりやすいでしょうか?しかし、小さな部品の一つ一つがすでに立体型なので、この繋ぎ合わせによって隙間が出来ないように微細に設計されているのが特徴です。きめの細かい、地道な作業が求められる工程です。




お顔を描きます。羽子板のお顔もきちんと押絵になっています。厚紙などの台紙に綿でくるんだ布を薄く張り、その布地の上から筆でお顔を描き込んでいきます。筆の入り方や引き方、色の使い方など、その描き手によっても特徴がはっきり出ます。その後髪付けをしてかんざしを挿します。




別々に製作されたお顔と体の部分を繋ぎ合わせます。体の中心線にあわせてバランスよく繋ぎます。仕様や卸先の発注の仕様に合わせて組み合わせていきます。その後全体のバランスを見ながらチェックしていきます。




踊りの銘柄や仕様によって部品を付けていきます。持ち物や髪飾りには多種多様な種類がありますので、その踊りの銘柄や地方独自の特徴などを考慮しながら仕上げていきます。手に持つ物やその手自体にもいくつかの種類があります。最近では飾り紐や振袖のたもとなど、手にかける物もより立体的に迫力あるものが好まれているようです。




会津より取り寄せた桐の木を使い、裏側に筆で絵を書きます。あらかじめ木工屋さんで羽子板型に切ってもらい、十分乾燥させておきます。絵柄は縁起の良い絵柄が多く、松竹梅が基本になっているものが多いようです。




板自体の裏描きが終わったら「にぎり」の部分に布を巻きます。人が持ってもずれないようにしっかりと貼り合わせます。均等な力加減を保ちながら丁寧に仕上げます。




木を小さく刻み、押絵の裏に貼ります。立体的に浮かす量に沿って木辺を使い、より迫力を醸し出します。押絵を羽子板に留め、外れないようにしっかりと打ち付けます。




出来上がった羽子板に装飾品を取り付け、最後の仕上げを施した後に全体を検品いたします。同じように見えても全ての羽子板は仕様や柄行が異なり、その一つ一つの羽子板がさながら生きているかのように優雅に華やいでいます。体の一部だけの表現とは言え、良い羽子板はまるで動いているかのような錯覚にまでとらわれます。



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